毛布の上で溺れる
わたしは神の視点で彼らを眺め続ける。
神様が不在なのだから、これはわたしの義務だ。
神様は忙しい、だから、わたしが代わりに魚たちを覗き込む。
もし彼らが息絶える時、それを見逃さないように、彼らの最期の瞬間を、彼に伝えるために。
わたしは無力だ。
もしポンプが故障してもそれを直す術がない。
酸素が欠乏して死に至る魚たちを見守るしかない。
いや、見守るという言葉もおこがましい、わたしはただ見ているだけだ。
こんなちっぽけな世界すら、救う力がわたしにはない。
そんなわたしの無力が、わたしはとても悔しい。
「でもね、きみが見ていないと、彼らは天国に逝けないんだ」
彼はいつもそう言ってわたしの頭を撫でた。
魚たちが水槽の中で白い腹を上にしてぷかぷか浮かぶ悪夢を見て、わたしが泣き出した時だ。
雨の降る日は、いつもこの夢を見る。
「誰からも看取られない魂はそこに留まってしまうんだ。そして、その可哀想な魂は、ずっとそこに居なければならない」
「なぜ、」
「神様がそう決めたんだ。孤独な魂を引き取るほど、天国は広くない」
「あんな小さな魚でも」
「そうだよ。だから、きみが見ていてやってくれ。彼らが天国に行けるように」