毛布の上で溺れる
それなら、わたしが見届けなきゃ。彼らが、天国に逝けるように。
それから数分もしないうちに、一匹の魚が白い腹を上にして、ぷかりと浮かんできた。
それを追うように、もう一匹も動かなくなった。
これは悪夢の再現だ。
彼は居ない。
目覚められない。
小瓶が沈んだ水槽の中は、もう楽園じゃなかった。
彼は、まだ帰ってこない。
目が、覚めた。いつのまにか眠っていたようだ。
頭の芯が鈍く痛む。こめかみを押さえながら身体を起こす。
いまだに彼の香水の匂いがベッドに横たわっていることを知った。
ぼんやりとした意識が段々と鮮明になっていく。
それは痛みと正面から向かい合うことでもある。
覚醒しつつある時、不意に自分のてのひらに暖かさを感じた。