笑ってよ、飯島くん。
別に飯島って奴が嫌な訳じゃない。

必要のないような会話をしたくない、ましてや友達でもないのに。

「あー、最悪って程じゃないけど最悪」

口に出してないとやってられない。

あからさまに大きな音をたてながらクラスのドアを開け、そのまま飯島の机に直行した。

飯島は目の前に仁王立ちしている私を、前髪で隠れた目でチラリと見てイヤホンを外し、数秒黙って見つめ合ってから飯島は口を開いた。

「なに?」

「眉毛からお届けもの」

机の上に落とすようにプリントを投げて、私は斜め後ろの自分の席へと戻ろうとした。

「待って」

小さい小さい声でそう聞こえたので、思わず「は?」という声がもれる。

「…なにも言ってない」

「あっそ」

言いたいことがあるなら、言えばいいのにと心の中で捨て吐いて私は席についた。
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