絶対命令アプリ
足を組み、王様のように特等席でアイドルの歌を聞き始める。


颯樹の体重を支えている博の体は小刻みに震え始めた。


「やめて颯樹」


そう声をかけるけれど、颯樹にあたしの声は届かない。


後ろから高らかな笑い声が聞こえたと思って振り向いてみれば、そこにはカリンが立っていた。


カリンは右手に手綱を持っていて、その先には首輪をした美奈がいた。


美奈はカリンの足元で犬のようにおすわりをしている。


「やめて、やめて、やめて!」


あたしの声は音楽によってかき消される。


2人の笑い声がとどろいた時、ハッと息を飲んで目を覚ました。
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