絶対命令アプリ
☆☆☆

ほんの数秒か、それとも数分か。


あたしの時間は停止していた。


次々生徒たちが登校して来ても、その足音さえ聞こえてこなかった。


唖然として開いた口からか細い声が漏れても、それが自分のものだと気が付くのに時間がかかった。


「なんで……」


ようやく真面な声が出て、あたしの時間は動き始めた。


けれど今度は混乱の波が強烈に押し寄せてきて、その中で溺れてしまいそうな錯覚を感じた。


あたしのスマホの画面には思っていた通りアプリからの紹介が何百通と送られてきていた。


でも、あたしを絶望のどん底へと突き落としたのはそれが原因ではなかった。
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