絶対命令アプリ
短く呼吸をしながらアプリを消そうと試みる。


しかし、みんなが言っていた通りアプリは消せなかった。


焦りと同様と恐怖と絶望。


その次に襲って来たのは、怒りだった。


美奈があたしにこのアプリを紹介したんだ。


どうしてあたしなんだとショックを受けていた心は、今や怒りで燃えていた。


スマホをスカートのポケットにねじ込み、大股で階段を上がりはじめる。


美奈はまだ来ていないかもしれないけれど、何も言わないわけにはいかなかった。


呼吸を切らしながら3年A組のクラスに到着して勢いよくドアを開く。


その瞬間、数人のクラスメートたちが驚いたように教科書から顔をあげて、こちらを見た。


彼らにはまだアプリの紹介がきていないのだろう。


そこだけはいつもの光景が広がっていた。
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