絶対命令アプリ
「なんのQRコード?」


「わからない。なにも書かれてなかったんだ」


そう言いながら颯樹が掲示板へと近づいて行くので、あたしも後を追いかけた。


今はもう掲示板には何も貼られていない。


「博に電話してみたら?」


あたしがそう言うと、颯樹がスマホを取り出して操作しはじめた。


しかし博は電話に出ないようで、首を傾げて電話を切った。


「本当、なんなんだろうなあのアプリは」


2人して灰色のボードをボンヤリと見つめていると、校門の奥から女子生徒の話声が聞こえて来た。


「自転車の後ろに乗せてよ」


「嫌だ」


キッパリと否定しているその声に顔を向けると、茶髪の生徒と黒髪の生徒が並んで歩いている。


茶髪の生徒の方は赤い自転車を押していて、それに乗せて欲しいと言っていたようだ。
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