絶対命令アプリ
亜美が驚いて足を止める。


「ごめんね、亜美」


スマホを握りしめている紗菜が眉を下げてそう言った。


「紗菜のせいじゃないよ。あたしが紗菜に命令をしたの」


亜美が青ざめた顔であたしを見た。


「お願い亜美。紗菜とゲームをして」


卑怯なやり方だということは十分に理解していた。


これが原因で紗菜と亜美の関係がぎくしゃくしてしまうかもしれない。


けれど、あたしには仮装通貨がないから誰かを仲間に入れるためには、紗菜に頼むしかなかったのだ。


「早くしないと、カウントダウンが始まって亜美が強制的に負ける事になるよ」


あたしは今朝紗菜に言われたセリフを亜美へ向けていた。


亜美は青ざめたまま画面を見つめている。
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