絶対命令アプリ
不審がられないよう、あたしたち3人は窓口へと近づいた。


「すみません、ちょっとお尋ねしたいことがあって来たんです」


そう言うと、男性は眼鏡の奥の目をスッと細めた。


こちらの言っている事が嘘か本当か、見ぬこうしているように見えた。


「5年前の、事件のことで……」


思わず声が小さくなった。


こんなに正直に話したって、はいそうですかと教えてくれるワケがない。


事前に言い訳を考えておけばよかったと思い、口をつぐんでしまった。


「5年前の事件の事を知って、どうするつもりですか?」


男性の口調が険しさを増す。


ダメだ。


このままじゃ追い返されてしまうだろう。
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