絶対命令アプリ
画面上に一際目立つ《絶対命令アプリ》のアイコンが出ている。


「嘘だろ……」


清野さんはあたしたちのスマホを順番に確認して行き、そう呟いた。


この声はこの世の絶望を見たような声だった。


「数日前から急激に校内に広がって行ってるんです。これと同じものが高田高校でも広まっていたんですよね?」


あたしの質問に清野さんは唖然とした表情のまま頷いた。


気持を落ち着かせるようにコーヒーを一気に飲み干した。


「その通りだ。これと全く同じものが5年前に広まっていた」


「このアプリでジャンケンをして、勝った人は王様。負けた人は奴隷になる。そしてそれは現実世界でも反映される」


あたしが言うと、清野さんは頭を抱えて何度も頷いた。
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