絶対命令アプリ
動く事も、服を着ることも許されていないようだ。


あたしは仕方なく誰のものかわからない体操着の上着で、彼の下半身を隠した。


本人が動けないのではこれ以上どうすることもできない。


「時間はあとどれくらい?」


「……1時間」


真っ赤に充血した目をこちらへ向けて、そう返答した。


「1時間か……」


見回りの先生があとどれくらいで来るか分からない。


その時にこの生徒を見つけたら、異変に気が付いてくれるかもしれない。


でも、その可能性は低かった。


無関係な人間の前ではアプリは起動しない。
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