絶対命令アプリ
あたしは自分の気持ちを落ち着かせるために深呼吸をした。


男子生徒たちの汗の匂いが鼻孔を刺激する。


「いいか?」


歩に言われてあたしは頷いた。


画面はすでにゲームに切り替わっている。


あたしはジッと歩の表情を見つめた。


「ジャンケン……」


あたしが選んだのはチョキだった。


突然押しかけてきた歩は動揺している様子を見せていたからだ。


「なぁ、カリンから聞いたんだけど」


不意にそう言われてあたしは首を傾げた。
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