絶対命令アプリ
思いを伝えようと思った事も何度もあった。


それでもできなくて、受験に専念しなきゃいけなくなって、自分の気持ちは一旦忘れたフリをしていた。


けれど《絶対命令アプリ》が学校中に広まり、あたしたちは変化してしまった。


颯樹は汚い顔を隠そうともしなくなった。


好きという気持ちも薄れ、颯樹を軽蔑するようになっていた。


そこに生まれた主従関係。


あたしは全身に体温が戻って来ると同時に、ひどく汗をかいていた。


負けた。


あたしは負けた。
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