絶対命令アプリ
進学校の生徒というストレスを、すべて奴隷たちへぶつけているのだから。


「みんなの事を思いやればこのアプリは消える。このアプリはあたしたちを試しているんだよ」


あたしは歩道の白線を見つめながらそう言った。


人間の本質を突くアプリ。


それに惑わされるかどうかがおおきな鍵を握っている。


「俺は完全にアプリに食われてるってことか」


颯樹が笑いながら言った。


「あたしにはそう見える」


「それでも、今の俺はスッキリしてる」


その言葉にあたしはマジマジと颯樹を見つめた。


人を傷つければ自分の心だって汚れるはずだ。
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