絶対命令アプリ
それ以上の快楽を颯樹はアプリによって見つけてしまったのかもしれない。


「アプリに食われることは、悪魔になることと同じかもしれないよ」


あたしがそう言った時、颯樹が立ち止まった。


思わず身構えたが、気が付けば颯樹の家の前に到着していた。


「自転車を置いてくる。少し待ってろ」


そう言われてあたしは素直に頷いた。


2階建てで、大きな庭のある家だ。


赤い屋ねが可愛くて、まるでおとぎ話の中に出てきそうな雰囲気があった。


玄関先には花の植えられたプランターがあり、その中には小さな小人たちの陶器も飾られている。


「行こう」


自転車を置いた颯樹に連れられて、あたしは家の中へと足を踏み入れた。
< 320 / 367 >

この作品をシェア

pagetop