絶対命令アプリ
あたしも人よりは勉強に自信があったけれど、モタモタしていればきっとすぐに順位を追い越されてしまうだろう。


ブツブツと英単語を口にしながら校門前まで差し掛かった時だった。


数人の生徒たちが校門前にある掲示板の前で立ちどまっているのが見えた。


みんなスマホを取り出してなにか写真を撮っている。


面白い催し物でもあるのかもしれない。


そう思うと少しだけ興味を惹かれたけれど、あたしは足を止めることなく校舎へと向かった。


立ちどまっていた生徒たちはみんな他のクラスの子たちだ。


A組の生徒は夏休み中の催し物に参加している暇なんてない。


「暇人はいいよね」


階段を上がりながら思わず口にしてしまい、あたしは慌てて周囲を見回した。
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