絶対命令アプリ
それはいつもの光景だった。


校門の前まで来てふと顔を上げて見ても、今日は掲示板付近には誰の姿もなかった。


少し悩んでから掲示板へと近づいて確認してみると、そこにはなんの張り紙もされていない。


その事を確認してホッと安堵のため息を漏らした。


昨日みたいに変なアプリのQRコードが張り出されていたら、すぐに先生に報告しなければいけないと思った。


そのまま教室へ向かおうとした時だった。


2年生の教室から大きなざわめきと笑い声が聞こえてきて、あたしは反射的に足を止めていた。


声が聞こえて来たのは階段に近い2年D組からだった。


あたしは階段からそっと離れてD組に近づいた。


窓もドアも開け放たれていて中が丸見えだ。
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