絶対命令アプリ
☆☆☆

10分ほど単語帳とにらめっこをしていると、元気のいい声が聞こえてきてあたしは顔を上げた。


みると颯樹が教室へ入って来たところだった。


みんなの雰囲気が和らぐのを感じる。


あたしは両腕を伸ばして大きく息を吸い込んだ。


「貴美子、昨日はサンキュ」


颯樹に言われてあたしは「構わないよ」と、返事をした。


颯樹はあの後すぐに帰ったんだろうか。


そう質問したかったけれど、なんとなくためらわれた。


「2年生の教室見たかよ」


不意にそう聞かれてあたしは返事に戸惑った。


それは肯定ととらえられて、颯樹は真剣な表情になる。
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