絶対命令アプリ
床を指さしてそう言うカリン。


美奈が息を飲む音がここまで聞こえて来た。


「嫌だ……」


蚊の鳴くような声で美奈が言う。


しかし、その言葉とは裏腹に美奈は床に四つん這いになっていた。


「嫌、嫌……」


フルフルと左右に首を振るものの、自分の体は言う事をきかない様子だ。


美奈は舌を出してハッハッと犬のように息を吐いてカリンに近づいた。


「ほら、お手」


「ワン!」


声を上げて右手を差し出す美奈。


その目には涙が滲んでいる。
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