絶対命令アプリ
「そんな中にあんなアプリを投げ込んだら、みんな豹変して当然だよな」


雅弘の言おうとしていることの意図が掴めて、あたしは苦虫をかみつぶしたように顔をしかめた。


「みんながストレスを感じているのはわかるけど、だからって相手を奴隷扱いしていい言い訳にはならないよね」


強い口調でそう言うと、雅弘は意外にも簡単にあたしの意見を肯定した。


「もちろんその通り。だけど、あのアプリのせいでそれが許されてしまうんだよな」


そう言って雅弘はため息を吐き出した。


普段できないことが許された時、人はまた豹変する。


あたしは颯樹が博を奴隷のように扱っている姿を思い出して、胸の奥が痛んだ。


颯樹のあんな姿、今まで見たことがない。


カリンと美奈がゲームを始めた時だって、颯樹はニヤニヤと嫌らしい笑みを浮かべながら眺めていただけだった。
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