絶対命令アプリ
亮太がしゃがみ込んでそう言った。


亮太もアプリをダウンロードしているのかと思ったけれど、そうじゃなかったみたいだ。


「無駄だって」


カリンはそう言いながらも足を美奈の背中からどけた。


ホッとした表情で立ち上がる美奈。


スカートのポケットからスマホを取り出して雅弘へ手渡している。


あたしは近づいて行って、スマホ画面を覗き込んだ。


手のイラストが描かれているマークが、《絶対命令アプリ》のアイコンみたいだ。


雅弘はそれをタップし、ゴミ箱へと移動する。


しかし、それは消える事なく《移動できません》という文字が出てくるだけだった。


「なんでだよ。元々入ってるアプリじゃないから消せるはずなのに」


雅弘はそう呟いて何度もチャレンジする。


しかし、アプリは一向に消えなかった。


「もういいでしょ。美奈足置きになって」


カリンにそう言われ、美奈は息を飲んだ。
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