絶対命令アプリ
「次のゲームでもお前が王様になれるとは限らないぞ」


亮太が平静を装いながらそう言った。


しかし、その額には汗が流れている。


緊張と恐怖で、声も少し震えていた。


「ハハハハッ! お前が俺を奴隷にできるのか?」


颯樹が一歩前へ出て言う。


亮太はその迫力に気圧されて後ずさりをした。


颯樹の思惑を理解できて、あたしは亮太を見た。


亮太は人を蔑んだり、けなしたりすることが嫌いだ。


特に弱い者を叩くという行為を一番嫌っている。


そんな亮太がゲームで勝ったとしても、颯樹を奴隷として扱うことはないだろう。


颯樹はそこまで考えてゲームを仕掛けているのだ。
< 96 / 367 >

この作品をシェア

pagetop