雪の果てに、催花雨は告ぐ。
言われてみれば、今日はまだ何も食べていなかった。
朝から母が作ったものを食べようとは思っていなかったし、虫の居所が悪くてコンビニにも寄っていなかった。
「…ありがとうございます」
ぼそりと小さな声で呟けば、先生は満足そうに笑った。
先生から食べ物をもらうのは別に初めてじゃないけれど、申し訳ないという想いが募るのは、私にも“普通”という部分があるからだろうか。
じゃあ普通じゃないって、どんなものなのだろう。
考え出すと止まらない問題を再び浮上させた私を止めるように、先生の強張った手が伸びる。
「あんまり、思いつめるなよ」
優しい声とともに落とされたのは、温かい手のひらのぬくもり。
頭をポンポンとされた私は、突然の不可解な行動に口をパクパクとさせた。
そんな私を面白がるように、先生は声を出して笑う。
「じゃあな、加瀬。気を付けて帰れよ」
「さ、さよなら…!」
逃げるように保健室を飛び出した私は、風のように学校を去った。
向かう先は、駅前にある図書館。
こうして、保健室に登校しては、昼に帰る。
半年前からずっと繰り返している、私の日常。
私にとっての、普通。
朝から母が作ったものを食べようとは思っていなかったし、虫の居所が悪くてコンビニにも寄っていなかった。
「…ありがとうございます」
ぼそりと小さな声で呟けば、先生は満足そうに笑った。
先生から食べ物をもらうのは別に初めてじゃないけれど、申し訳ないという想いが募るのは、私にも“普通”という部分があるからだろうか。
じゃあ普通じゃないって、どんなものなのだろう。
考え出すと止まらない問題を再び浮上させた私を止めるように、先生の強張った手が伸びる。
「あんまり、思いつめるなよ」
優しい声とともに落とされたのは、温かい手のひらのぬくもり。
頭をポンポンとされた私は、突然の不可解な行動に口をパクパクとさせた。
そんな私を面白がるように、先生は声を出して笑う。
「じゃあな、加瀬。気を付けて帰れよ」
「さ、さよなら…!」
逃げるように保健室を飛び出した私は、風のように学校を去った。
向かう先は、駅前にある図書館。
こうして、保健室に登校しては、昼に帰る。
半年前からずっと繰り返している、私の日常。
私にとっての、普通。