髪は切れない、けど君のためなら……
 ホームルームが終わって入学式を始めるためにみんなが体育館に移動を始めた。


「なぁ、あの子かわいくね?」

「さっき話しかけたんだけど、日野つむぎって言うらしいぜ」


 僕の前の男子たちがワイワイ言いながら話している。

 彼らが話している女の子はさっき僕のペンを拾ってくれた女の子のことみたいだ。


「お前だったらワンチャンあるんじゃね?」

「いやいや、お前が行けよっ」

「じゃあ一緒に行くか!」


 そう話しながら、彼らは日野さんに話しかけていった。

 少し話しただけで、打ち解けたみたいで、羨ましいと思った。


「やっぱり自分を変えなきゃいけないのかな……」

 癖のついた前髪を弄りながら僕は呟いた。
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