Sweet Summer Valentine
夕方が過ぎ、すでに日もくれた夜7時。
がちゃん、と鈍い鍵が響き、ドアを開いた音を聞く。
いてもたってもいられず、居間を飛び出す。
玄関には、3年前いってくるといったままの変わらないスーツ姿の充彦がたっていた。
「ただいま」
「……おかえり」
ぎゅっと抱きしめたかったのに、充彦の顔は真顔だ。
ぴりっとした空気をまとっている。
体に触れたかったけれど、伸ばしかけた手を元に戻した。
「もう帰ってこないかと思ったよ」
なんともいえない重い空気を蹴散らすようにわたしは弾むような声で充彦に投げかける。
誘導するように先に廊下を歩く。その後ろをゆっくり充彦が追いかけてくる。
紅茶入れるから座ってと、ダイニングテーブルへ案内するけれど、木のテーブルに重たそうなカバンを置いたまま、突っ立っていた。
「あのさ、亜姫」
充彦の喉仏が上下に動く。
じっとわたしの目を見つめている。
そらそうとしても、視線はずっと注がれたままだ。
「この関係、もうやめよう。やり直したいんだ」
充彦から放たれた無常の言葉に、持っていた紅茶の缶が手からすべり落ちそうになってしまった。
がちゃん、と鈍い鍵が響き、ドアを開いた音を聞く。
いてもたってもいられず、居間を飛び出す。
玄関には、3年前いってくるといったままの変わらないスーツ姿の充彦がたっていた。
「ただいま」
「……おかえり」
ぎゅっと抱きしめたかったのに、充彦の顔は真顔だ。
ぴりっとした空気をまとっている。
体に触れたかったけれど、伸ばしかけた手を元に戻した。
「もう帰ってこないかと思ったよ」
なんともいえない重い空気を蹴散らすようにわたしは弾むような声で充彦に投げかける。
誘導するように先に廊下を歩く。その後ろをゆっくり充彦が追いかけてくる。
紅茶入れるから座ってと、ダイニングテーブルへ案内するけれど、木のテーブルに重たそうなカバンを置いたまま、突っ立っていた。
「あのさ、亜姫」
充彦の喉仏が上下に動く。
じっとわたしの目を見つめている。
そらそうとしても、視線はずっと注がれたままだ。
「この関係、もうやめよう。やり直したいんだ」
充彦から放たれた無常の言葉に、持っていた紅茶の缶が手からすべり落ちそうになってしまった。