独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
ままならない恋心
フィリーネは庭に出されているテーブルのところでお茶をしていた。ふらりとやってきたパウルスが向かい側に座る。
「お茶飲む? クッキーは?」
フィリーネが誉めちぎったのがよかったのか、厨房の菓子職人は時々フィリーネのところに焼き菓子を差し入れてくれる。甘いものは大好きだし、今日は天気もいいのでのんびりと外でのお茶を楽しもうと決めたところだった。
ヘンリッカは、クラインに呼ばれて城下町まで出かけている。どうやら、新しいドレスのデザインを決めるにあたり、三乙女のレースについてよく知っている人間に来てほしいとの連絡があったのだ。
「私が行ければよかったのに……」
「フィリーネが自分で出かけるのはだめだろ。一応、アーベル王太子殿下の花嫁候補ってことでここに来てるんだからさ」
アーベルに話を通せばフィリーネが行ってもよかったのだろうけれど、あいにく彼は捕まらなかった。
そんなわけで、ヘンリッカに行ってもらってここでだらっとしていたのである。とはいえ、フィリーネも遊んでいるわけではなかった。
あいかわらずせっせと手を動かし、普段着の襟につけるレースを編んでいるところだ。
「お茶飲む? クッキーは?」
フィリーネが誉めちぎったのがよかったのか、厨房の菓子職人は時々フィリーネのところに焼き菓子を差し入れてくれる。甘いものは大好きだし、今日は天気もいいのでのんびりと外でのお茶を楽しもうと決めたところだった。
ヘンリッカは、クラインに呼ばれて城下町まで出かけている。どうやら、新しいドレスのデザインを決めるにあたり、三乙女のレースについてよく知っている人間に来てほしいとの連絡があったのだ。
「私が行ければよかったのに……」
「フィリーネが自分で出かけるのはだめだろ。一応、アーベル王太子殿下の花嫁候補ってことでここに来てるんだからさ」
アーベルに話を通せばフィリーネが行ってもよかったのだろうけれど、あいにく彼は捕まらなかった。
そんなわけで、ヘンリッカに行ってもらってここでだらっとしていたのである。とはいえ、フィリーネも遊んでいるわけではなかった。
あいかわらずせっせと手を動かし、普段着の襟につけるレースを編んでいるところだ。