独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「今、ここに座ってたの従者だろ?」
手つかずのティーカップを見下ろして、アーベルがちょっぴり不愉快そうな表情になった。
「従者ってことになってるけど、私のいとこでもありますよ。それはアーベル様もご存知でしょうに」
「だが、従者ってことで連れてきてるんだから気をつけろ。従者と同じテーブルについてたなんて噂になったら困るだろ」
「あ、それも……そうです……ね……ごめんなさい」
あまり気にしていなかったけれど、たしかにパウルスと二人きりでいるところを他の人に見られたら、ちょっとまずいかもしれない。今後は、ヘンリッカが一緒にいる時だけにしよう。
「ちょうどいい。お前、付き合え」
「もー、お前お前って……フィリーネって名前があるんですけど!」
今までパウルスが座っていた席に、どしんとアーベルが腰を下ろす。
(……やだな、こういうの)
アーベルが側にいるだけで、どうしてこんなに心臓が暴走を始めるのだろう。その答えはわかっているけれど、あえて見ていないふりをして遠ざける。
手つかずのティーカップを見下ろして、アーベルがちょっぴり不愉快そうな表情になった。
「従者ってことになってるけど、私のいとこでもありますよ。それはアーベル様もご存知でしょうに」
「だが、従者ってことで連れてきてるんだから気をつけろ。従者と同じテーブルについてたなんて噂になったら困るだろ」
「あ、それも……そうです……ね……ごめんなさい」
あまり気にしていなかったけれど、たしかにパウルスと二人きりでいるところを他の人に見られたら、ちょっとまずいかもしれない。今後は、ヘンリッカが一緒にいる時だけにしよう。
「ちょうどいい。お前、付き合え」
「もー、お前お前って……フィリーネって名前があるんですけど!」
今までパウルスが座っていた席に、どしんとアーベルが腰を下ろす。
(……やだな、こういうの)
アーベルが側にいるだけで、どうしてこんなに心臓が暴走を始めるのだろう。その答えはわかっているけれど、あえて見ていないふりをして遠ざける。