独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!

「本当? 嬉しい。国から連れてきている友人——じゃなかった侍女にも食べさせてあげたいの。あと従僕にもよ。ケーキもクッキーもすごくおいしいんだもの!」

 こんなにおいしいお菓子を食べる機会はめったにないので、パウルスとヘンリッカにも食べさせてあげたい。

「ええと、そちらはチョコレートパイ?」
「さようでございます」
「私、好きなの。一切れ頂けるかしら?」

 気が付いたら、お菓子のテーブルに張り付いているのは、フィリーネだけ。
 皿に取り分けてもらったお菓子を堪能しながら皆の服装を観察しているうちに、園遊会は終わりを迎えていた。
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