独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
招待客の一覧を確認した時、ユリスタロ王国が国王夫妻の名代として、王女を送り込んでくるのに気が付いた。てっきり、援助を求めてくるものだと思っていたのに、菓子に気を取られているとは——王族としての気構えが足りていないんじゃないだろうか。
チョコレートパイを取り分けてもらっているフィリーネを見つめていたら、袖を引かれた。
「アーベル様、乗馬に行きませんか?」
彼の近くに陣取っているのは、ライラ・バルヒェットだ。隣国、デルガド王国の王女で、今回両親の一押しの相手であるのは知っていた。
だが、彼女の押しつけがましさは少し苦手だ。近寄るなと言える相手でないのはわかっているから言うつもりもないが。
「——機会があれば、ぜひ」
そうかわしておいて、他の女性はいないかと視線を巡らせる。できれば、アーベルをそっとしておいてくれる適当な女性。いわば虫よけ役だ。
チョコレートパイを取り分けてもらっているフィリーネを見つめていたら、袖を引かれた。
「アーベル様、乗馬に行きませんか?」
彼の近くに陣取っているのは、ライラ・バルヒェットだ。隣国、デルガド王国の王女で、今回両親の一押しの相手であるのは知っていた。
だが、彼女の押しつけがましさは少し苦手だ。近寄るなと言える相手でないのはわかっているから言うつもりもないが。
「——機会があれば、ぜひ」
そうかわしておいて、他の女性はいないかと視線を巡らせる。できれば、アーベルをそっとしておいてくれる適当な女性。いわば虫よけ役だ。