独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
ユリスタロ王国は、山の中にあり、領土は狭く冬の間は雪に埋もれてしまうやせた土地が大半だ。今のところ主な産業といえば、観光くらい。はっきり言ってものすごい貧乏国だ。
もともとエイディア大陸一の勢力を誇っていたというが、それは昔の話。三百年の間に領土はどんどん狭まっていって、今やこの湖の周辺だけを領土とする小さな国だ。
フィリーネはこの国の王女殿下、ヘンリッカは伯爵家の令嬢だ。そして、今、二人がいるのは王宮のバルコニー。
とはいえ、昔はともかく、現在のユリスタロ王国は全国民合わせても八百人くらいしかいない小さな国なので、王女といえどのほほんとしていられるわけではない。
さすがに力仕事は免除されているものの、鶏に餌をやったり、ハーブ園の面倒を見たりと、よその国の王女様や貴族令嬢ならまずやらないであろう仕事もフィリーネに任されている。
ちなみに、ヘンリッカの実家は伯爵家兼ユリスタロ王国一の小麦農家である。ヘンリッカも忙しい時期には畑仕事に精を出し、その合間に王宮に雑用を手伝いに来てくれているのだ。
たいして、隣接するアルドノア王国は、大陸一の勢力を誇る大国。その国の王太子が、フィリーネを花嫁に——なんて、ありえない。
もともとエイディア大陸一の勢力を誇っていたというが、それは昔の話。三百年の間に領土はどんどん狭まっていって、今やこの湖の周辺だけを領土とする小さな国だ。
フィリーネはこの国の王女殿下、ヘンリッカは伯爵家の令嬢だ。そして、今、二人がいるのは王宮のバルコニー。
とはいえ、昔はともかく、現在のユリスタロ王国は全国民合わせても八百人くらいしかいない小さな国なので、王女といえどのほほんとしていられるわけではない。
さすがに力仕事は免除されているものの、鶏に餌をやったり、ハーブ園の面倒を見たりと、よその国の王女様や貴族令嬢ならまずやらないであろう仕事もフィリーネに任されている。
ちなみに、ヘンリッカの実家は伯爵家兼ユリスタロ王国一の小麦農家である。ヘンリッカも忙しい時期には畑仕事に精を出し、その合間に王宮に雑用を手伝いに来てくれているのだ。
たいして、隣接するアルドノア王国は、大陸一の勢力を誇る大国。その国の王太子が、フィリーネを花嫁に——なんて、ありえない。