独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「ちょ、な……何、肩っ」
「いいから、黙って聞け。そのドレス、デザインは悪くないが、素材は今一つなの、お前ならわかるだろ? しかし、そのレースは最上級の品だ」
「——お母様のドレスを仕立て直したから……ですよ。我が国の財力では、これが精いっぱいです」

 デザインだけは、周囲の令嬢を観察して流行に近づけられたとしても、もともとの品質の違いまではどうしようもない。

「明日、街に出るぞ。他に入ってる予定があったらすべて断っておけ」
「予定はありませんけど、街に出てどうするつもりですか」

「俺がドレスを買ってやる」

「……それはどうかと思うんですけど」
「じゃあ、お前どうにかできるのか?」
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