記憶のかけら
日常
京都の街は祭りとなれば道路は大渋滞する。

縦横規則正しく区割りされた街は、

地下には豊かな伏流水が流れ

地上には玄武、白虎、鳳凰、青龍が

四方に睨みを利かせ

結界を張り巡らせている。

山紫水明の街に

千年の時を紡いで続けられてきた祭り

四季折々の祭りが

人々を非日常にいざなう。

時空の扉が開く時

あの日、

晩御飯をどうしようかと考えながら、

家から車で買物にでかけた。

有給消化のため仕事を休んだ、

なにも予定のない平日

いつものように目覚めて、

掃除洗濯を済ませ

お気に入りの音楽を聴きながらフェイスパック

なんとなくだらだら過ごして、

たしか時計はAM11:55だった。

お昼のニュースが始まる頃、家を出た。

車に乗るとき

どこからか甘い香りがした。

レース地にターコイズブルー色の

花柄プリントがあしらわれたトップス、

レーヨン生地ネイビー色の

優しいシルエットのスカート、

足元は足首が強調されるデザインの細いストラップサンダル。



初夏らしい格好で、

いつもと同じように、

いつもの道を運転。

あっ、今日はお祭り…と気がつく。

不思議に渋滞もなく、

スムーズにドライブ。



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