"鬼"上司と仮想現実の恋
「は!? クマさん?」

私はスマホを取り出して、クマさんのダイアリーを見せた。

「私が落ち込んでたり、心折れそうに
なってたりすると、いっつもあったかい言葉を
くれるんだよね。
優しくて、思いやりがあって、大人で、私の
理想の人。
現実で会いたいなぁ。」

「お前、それ、ネットの中だけだから、いい
とこばっかり取り繕えるんだよ。
そいつも現実は、嫌なやつかもしれないぞ。」

「そんな事ないもん。
クマさんは私の理想の恋人なんだから。
田中君と一緒にしないでよ。」

「ハイハイ…
お前、酔っ払うの速すぎ。」

「うるさい!
あんたの仕事のせいで、寝不足なんだから、
しょうがないでしょ!」

2時間後、千鳥足になった私は、田中君に抱えられて駅まで歩く。

「お前なぁ、いい加減にしないと、そのうち
知らない男に食われるぞ。」
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