"鬼"上司と仮想現実の恋
部長と外回りに出て電車での移動中、私は部長にも声を掛けた。

「今日、田中君が契約取れたお祝いにみんなで
飲みに行くんですけど、一緒に来て
くれません?」

「………

営業が契約取るたびに飲み会してたら、
一年中、飲み会になるぞ?」

「そうなんですけど…

さっき、田中君に断ろうと思って、誘ったら、
契約取れるから遅くなるかもって言われて、
そんな日に断るのも申し訳なくて…

2人で出掛けるのも怖いし、桜たちを誘って
ごまかそうとしたら、なんか大ごとに
なっちゃって…」

私は申し訳なくて、部長の顔を見れなかった。

「で、なんで俺なんだ?
暁里のお目付役か?」

「違います。
桜が、金曜日、私が部長を連れて帰ったせいで
部長と話せなかったから、代わりに今日
連れて来いって…」

「つまり、俺は暁里に売られたんだ?
今日は、加藤と仲良く飲め…と?
暁里はそれでいいんだな?」
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