"鬼"上司と仮想現実の恋
「ぶはっ
クククッっ」

石原さんが思いっきり笑ってる。

「部長、カッコ良すぎます。
クククッ」

「そうか?
普通だと思うが。」

「だって、俺には寄ってきてくれる肩書きも
ありませんし、ルックスに寄ってきて
くれたら、ラッキーって思いますし、色仕掛け
なんてされたら、ありがとう、いただきます、
ごちそうさまって感じですよ。」

か、軽い…

「ふーん、つまり今、石原は、隙あらば
いつでも狼になる男だとみんなの前で暴露
したんだな?
女性陣は、これから、気をつけるんだぞ。」

「はーい。」

桜がにこにこと返事をする。
百合ちゃんもくすくす笑ってるし、田中君も
「くくっ」
という声と共に、肩を揺らしている。

上村さんは、ひとり苦虫を噛み潰したような顔で座っていた。

「部長、ひどいですよ〜。
そんな事言われたら、女の子がみんな逃げてく
じゃないですかぁ。」

石原さんは、口を尖らせた。
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