"鬼"上司と仮想現実の恋
「なんだ、さっきのは田中さんのヤキモチ
だったんですね。
部長と瀬名さん、いつも一緒だから、
妬けますよね〜。
俺も瀬名さん、タイプですから〜。」

と石原さんも笑う。

「ちょっと、田中君も石原さんも、もう
酔ってるの?
私で遊ぶのやめてよ。」

私はごまかそうとしたが、すでに手遅れ。

誰も田中君がふざけてるとは思ってない。

「じゃあ、桜の好みは?」

私は助けを求めるように、桜に話を振った。

「そんなの決まってるじゃないですかぁ。
部長ですよ〜。
イケメンで、仕事ができて、お金持ちで。
うちの会社に部長以上にハイスペックな男の
人なんて、存在しませんもん。」

桜はケラケラと明るく笑った。

「残念。
そういう条件で見てる限り、俺の中では
対象外なんだけどな。」

と部長も笑う。
< 149 / 407 >

この作品をシェア

pagetop