"鬼"上司と仮想現実の恋
「知らない男と飲みに行かないから、大丈夫!
田中君は、ちゃんと私を家まで送ってくれる
もんね〜。」

「はぁ………」

ご機嫌な私とご機嫌斜めな田中君。
会社の前を通ると、ちょうどエントランスから出てきた佐久間部長に会った。

「お疲れ様です、佐久間部長。」

田中君の声に反応して、私も挨拶をする。

「佐久間ぶちょお、お疲れ様ですぅ〜」

部長に敬礼をしようとした私は、そのままよろめいて倒れそうになった。

慌てた田中君が腕を掴んで支えてくれた。

「すみません…」

なぜか田中君が部長に謝る。

「見事な酔っ払いだな…」

部長はあきれ顔だ。

「タクシー捕まえて帰りますので、失礼
します。」

「待て。
今日は、車だから、送ってやる。
瀬名の住所分かるか?」
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