"鬼"上司と仮想現実の恋
「俺はもう、お前の事、どんなに酔っ払っても
送らないからな。
自分でなんとかできる範囲でしか飲むなよ。」

田中君が私の頭をくしゃくしゃに撫でる。

変わらず優しい田中君の態度が嬉しかった。

「うん。
今まで迷惑ばっかりかけてごめんね。
っていうか、これからは迷惑かけないように
努力するけど、結果が伴う自信がないよ。」

「なんだ、それ?
お前、俺の事振ったくせに、まだ頼る気か?
お前がいたら、俺、一生、彼女できない
じゃん。」

と言う田中君に、デコピンされた。

「イタイ!」

おでこを抑える私に、

「俺の心の痛みに比べれば、大した事ない。
これくらい我慢しろ。」

と言って笑われた。

田中君が笑ってくれるから、私も笑って、

「もう!!」

と膨れてみせた。

田中君、ありがとう…
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