"鬼"上司と仮想現実の恋
2人でまったりとお茶を飲みながら、夏の午後のひとときを過ごす。

特別などこかへ行かなくても、なんだか幸せな気分になれるから不思議だ。

私が飲み終えたカップを洗っていると、後ろから悠貴さんに抱きしめられた。

「悠貴さん、これじゃ、洗えませんよ。
離してください。」

私がお願いすると、

「やだ。
昨日1日、暁里が田中といる事を我慢したん
だから、これくらいのご褒美はもらっても
いいだろ。」

と耳元で囁かれた。

「え?」

「仕事とはいえ、暁里に惚れてるやつと2人で
外に出すんだぞ。
俺がどんな気持ちだったか、考えてみろ。」

悠貴さんの腕に、力がこもった。

「もしかして、心配してました?」

「もしかしなくても、心配するさ。」

「ふふ
何もありませんよ。
田中君には、ちゃんと断ってきました。
もういい同期でいい友人ですよ。
ご心配をおかけして、すみませんでした。」
< 179 / 407 >

この作品をシェア

pagetop