"鬼"上司と仮想現実の恋
私たちは、社長おすすめのカフェでランチをいただいた。

「墨田社長、ここ、雰囲気がいいお店ですね。」

私が言うと、

「そうだろ?
落ち着いた雰囲気が、いいんだよ。
何を食べてもおいしいから、お好きな物を
どうぞ。」

と社長はにこやかに微笑んでいた。

「佐久間さんは、あまり喋られませんが、
営業さんなんですよね?」

社長が話を振った。

「はい。
今日は、あくまで、瀬名の付き添いですので、
瀬名がテンパって変な事を口走らない限り、
静観するつもりでおりました。」

「隣でご覧になってて、いかがでした?」

「よくがんばったと思いますよ。
何より、墨田社長のお誘いを正面から断る
度胸には感心しました。」

と悠貴さんは笑った。

「ですよね?
ヒロセさんの所に限らず、大抵の女性の営業の
方は、私の誘いにすんなり乗ってくれるん
ですが、あんなにきっぱり断られたのは
初めてで驚きました。
余程、素敵な恋人がいらっしゃるんで
しょうね。」
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