"鬼"上司と仮想現実の恋
「は?
全然、似てないし!」

私が抗議すると、

「初対面の人間に愛想がいいのも、話し方も
そっくりだぞ。」

と笑った。

「今日は、どこに連れてってくれるんですか?」

「山」

「山って?」

「んー、いろいろ。
着いてからのお楽しみ。」

そう言って、悠貴さんはいたずらっ子のように笑った。


小一時間走って着いたのは、渓谷に架かる吊り橋だった。

「恋のつり橋?」

「そう。
高い所は平気?」

「別に苦手じゃ、ありませんよ。」

「じゃあ、行こう。」
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