"鬼"上司と仮想現実の恋
「えっと、混乱しててよく分からないんで、
説明してもらえませんか?」

「俺が気付いたのは、ホテルでフレンチを
食べた時。
暁里に営業をやれって言うために
ワイシャツを餌に呼び出したの覚えてる?」

私はこくんと頷いた。

「あの日の朝、暁里はダイアリーに自分の
ネイルを載せたんだ。
だから俺は、ワイングラスを持つ暁里の爪を
見て、驚いた。
もしかして、偶然同じネイルなのかとも
思ったけど、暁里はオリジナルだって
言うから、ちょこさんなんだと思った。」

そうなんだ…
あの時の砂浜と海のネイルが…

「その日の夜、ちょこさんに会えて興奮した
俺はダイアリーにその事をアップした。
ずっと会いたかった人に会えました…って。」

「え!?
じゃあ、会いたかった人って、私?」

「ああ。
俺の中で、ちょこさんは、いつも前向きに
がんばってる理想の女性だったから。」

「え!?
うそ!!」
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