"鬼"上司と仮想現実の恋
私は2人のやり取りを呆然と眺めているしかなかった。

「暁里、ごめん。
暁里には全然関係ない話だよな。」

悠貴さんが申し訳なさそうに頭を下げる。

「ううん。
悠貴さんの家族の話でしょ?
関係なくないよ。」

私がそう言うと、

「暁里さんはいい子だね〜
営業やってるんだって?」

と社長に言われた。

「はい。」

と私が答えると、悠貴さんが、

「だいたい、誰に暁里の事、聞いたんだよ?
俺はちゃんと食事でもしながら紹介しようと
思ってたのに。」

と不満顔を見せた。

「誰って、今朝、秘書が突然、
『佐久間部長、ご結婚なさるそうですね。
おめでとうございます』
って言ったんだよ。
驚いたのは、こっちだ。」

と社長。
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