"鬼"上司と仮想現実の恋
「いえ、特には…」

部長は、コース料理とノンアルコールのワインを注文した。

「さて…
先に瀬名の話から聞いてやろうかな。」

部長はにやっと笑った。

「俺に聞きたい事があるんじゃないのか?」

私は、意を決して質問した。

「単刀直入に伺います。
月曜日、何があったんでしょうか?」

「くくっ
お前は車に乗るなり、ぐぅぐぅ寝たんだよ。
家に着いても、全く起きない。
仕方ないから、抱き上げて部屋まで連れて
行き、鞄から勝手に鍵を出して開けて入った。
玄関に捨てて帰るのも可哀想だと思い、
ベッドまで運んだ。
ところが、そこで目覚めたお前は俺のシャツを
掴んで離さず、『帰るな、一緒に飲め!』と
絡んだ。
酔っ払いの相手をしたくない俺は、
シャツだけ脱いで、鍵をポストに入れて、
そのまま帰った。
空蝉だな。
他に何か質問は?」

「!!!
大変ご迷惑をおかけしました。
申し訳ございません。」
< 27 / 407 >

この作品をシェア

pagetop