"鬼"上司と仮想現実の恋
「そう…だったんですか?
てっきり普通の社内恋愛だと思ってました。」

と母が口を挟んだ。

「だって、夏に来た時には、私もそう
思ってたもん。」

と私が笑うと、

「運命だけで全て乗り越えられる程、人生
甘くないぞ。」

と父がぼそっと言う。

「分かってます。
でも、いつ、どんな状況で出会っても俺たちは
お互いに惹かれ合うんだから、この先、何が
あっても支え合っていけると思うんです。
少なくとも、俺は一生暁里を離すつもりは
ありませんから。」

「じゃあ、暁里は長女だから婿養子じゃなきゃ
ダメだと言ったら、どうする?」

「お父さん!!」

私は驚いて叫ぶが、

くすっ

悠貴さんは小さな笑みをこぼして、

「一応両親にも相談…というか、報告を
してからでないと、正式にはお返事できま
せんが、俺はそれでも構いませんよ。
俺は幼少期に両親の離婚で1度名前が
変わってますから、別に今の姓にこだわりは
ありませんし。」

と言った。
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