"鬼"上司と仮想現実の恋
身長160㎝の私より、遥かに背が高い彼女は、どう見ても31歳の息子がいるようには見えない。

悠貴さんは、明らかにお母さん似だ。

「はじめまして。
瀬名暁里と申します。」

私はできるだけ丁寧にお辞儀をした。

「さ、こんなところじゃ、なんだから、
入って、入って。」

お母さんに促されて、悠貴さんと共に部屋に入る。

「お邪魔します。」

リビングに通されて、

「適当に座っててね。」

と声をかけられ、私たちは並んでソファーに腰掛ける。

それを見届けると、お母さんはキッチンに行ってしまった。

「どうぞ。」

と3人分のお茶をテーブルに並べて、お母さんも向かいのソファーに座る。

「綺麗なお嬢さんね〜。
悠貴は面食いじゃないと思ってたんだけど、
そうでもなかったって事かな?」

お母さんがにこにこ言う。
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