"鬼"上司と仮想現実の恋
夫婦の別れ話をにこにこと笑って話す悠貴さんのお母さんは、凛としてとても綺麗だった。

「暁里さん。
悠貴はそんな事はないと思うけど、もし、
あなたの自由を奪うような事があったら、
私の所へ逃げていらっしゃいね。
私がきっちりお説教してあげますから。」

「母さん!!」

私が返事をするより前に悠貴さんが口を挟んだ。

「ふふっ」

私は思わず、笑ってしまった。

「ん? 暁里?」

悠貴さんが、笑ってる私を不思議そうに見た。

「悠貴さんは、大丈夫です。
きっと、同窓会に行くな…って言うより、
同窓会について来てくれると思います。」

私がそう言うと、

「あら。」

とお母さんが悠貴さんを見る。

「私、お酒があまり強くないので、外では
悠貴さんに禁酒させられてるんですけど、
私が飲みたい時は、悠貴さん、ちゃんと
ついて来てくれますから。
女子会にもちゃんとお迎えに来てくれるん
ですよ。」

私が言うと、悠貴さんのご両親は、物珍しげに悠貴さんを見る。

悠貴さんは、照れ臭そうにほんのり頬を染めた。
< 295 / 407 >

この作品をシェア

pagetop