"鬼"上司と仮想現実の恋
「ふふっ
やっぱりラブラブなんですね。
羨ましい〜」

百合ちゃんが目をキラキラさせる。

「そうだ!
田中君、連休、暇でしょ?
百合ちゃんをどこか連れてってあげてよ。」

「は? なんで?」

「百合ちゃん、こんなにかわいいのに
クリスマス1人なんだよ?
かわいそうじゃん。
擬似デートしてやってよ。」

「俺はいいけど、富田(とみた)さんが
嫌がるだろ。
富田さんなら、誘えば男はみんなホイホイ
付いてくるんだから。」

「え? そうなの?」

富田さんこと、百合ちゃんはブンブン首を横に振る。

「あれ?
富田さんって、もしかして、瀬名と同じくらい
鈍い人?」

田中君の失礼な発言に、百合ちゃんは目を丸くする。

私は田中君の頭を軽くはたく。

「それ、どういう意味よ。」
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