"鬼"上司と仮想現実の恋
「大丈夫だよ。
私、残業終わりによくラーメンとか
連れてってもらったよ?
ノリ悪くないから、来てくれると
思うけどなぁ。」

「それは!」
「くくっ」

桜の声に横から田中君の笑い声が重なる。

「何?」

田中君を見て言うと、

「お前、ほんっと、鈍いな。」

と言われた。

「は? 失礼ね! 何がよ?」

私が言うと、

「長谷部主任、ずっと瀬名を狙ってたんだよ。
ラーメンだって瀬名だから誘ったんだよ。
うちの部の人間なら、みんな知ってるぞ。」

「へ?」

「くくっ
ま、失恋して弱ってる所に色仕掛けじゃ、
フラついても仕方ないかもな。
瀬名が呼んだら、来るかもしれないから、
電話してみたら?」

そんな事を言われてしまうと、なんだか電話しづらい。
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