"鬼"上司と仮想現実の恋
「暁里さん、電話しましょ。
今の田中さんの話は聞かなかった事にして、
いつも通り、さらっと誘ってくださいよ。」

桜がそう言うので、私は会社に電話を掛けた。

『お電話ありがとうございます。
ヒロセ事務機器でございます。』

この声は上村さん?

「お疲れ様です。瀬名です。
長谷部主任、いらっしゃいますか?」

『少々お待ちください。』

『はい、長谷部です。』

「あ、瀬名です。
今、お時間大丈夫ですか?」

『ああ、大丈夫だけど、どうした、こんな
時間に?』

「今、桜たちと飲んでるんですけど、主任も
来ません?」

『部長も一緒?』

「まさか。
部長の前でこんな電話したら、部長
拗ねちゃいますよ。」

『ははっ
電話で惚気るなよ。
今から片付けて行くけど、店どこ?』

「いつもの居酒屋です。会社出て、左の。」

『了解。10分待ってて。』

「はーい。」

そう言って私たちは電話を切った。
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